INFORMATION
インフォメーション
インフォメーション

インフォメーション

ヴァラマイト(シュシュファレル18)スペシャルレポート

募集馬情報

配合アドバイザーとして、レーヌミノル(桜花賞)、ウイングアロー(最優秀ダートホース2回)、マチカネフクキタル(菊花賞)など4頭のG1/Jpn1優勝馬を送り、そして育成牧場としては、我らがローレルゲレイロ(最優秀短距離馬)やディープスカイ(日本ダービー)、ヒルノダムール(天皇賞・春)、サウンドスカイ(全日本2歳優駿)などを送り出してきたのが、北海道浦河町で生産から育成までを手掛けるグランデファームだ。これまでも育成牧場として、あるいはゲストとしてクラブ募集馬を提供してきたが、昨年度より正式なメンバーとして参入。「ローレルクラブ内でグランデファームというブランドを確立させたい。そのためには、会員の方々から信頼していただけるような馬を提供していきたい」とグランデファーム代表の衣斐浩社長が信念を語る。

そんな衣斐社長は数多くのメディアなどでその配合論を展開しているので、ご存知の方も多いと思う。「馬を購入するときは、必ず配合と馬体の両方を確認します。その両方に合格点を与えられるような馬でなければ、どんなに好配合の馬でも、そして好馬体の馬でも購入することはありません。なぜならば、血統や馬体に絶対はないからです」と語る衣斐社長が自信を持って送り出すのがヴァラマイトだ。「この馬は当歳時に購入した馬です。どちらかと言えば小柄な産駒が多いサウスヴィグラスの仔ですが、骨量と筋肉量に恵まれ、そして配合も素晴らしかった。購入に迷いはありませんでした」と目を輝かせる。

父サウスヴィグラスは、2012および2015~19年のNARチャンピオンサイアーにして、NAR2歳チャンピオンサイアー7回の名種牡馬。2020年もNARサイアーランキング首位を独走中だ。昨年は日本記録となる年間492勝をマークするなど、産駒の通算勝利数4346勝(4月24日現在)は歴代最多を更新中である。「正直言えば、体は小さいし、単調なスピードというイメージがあって、産駒がデビューする前のサウスヴィグラスにはあまり高い評価を与えていませんでした」という一言にも衣斐社長の誠実な人柄がにじみ出る。

実際にスタッドインを果たした2004年に設定された種付け料は、受胎確認後支払条件で50万円だった。通算16勝の実績とラストランとなったJBCスプリント(Jpn1)を含む引退までのラスト8走で8戦7勝2着1回という成績が認められて、初年度から150頭もの繁殖牝馬を集めたが、種牡馬デビュー同世代にはゴールドアリュールやアグネスデジタルなどがいて、決して恵まれた種牡馬生活のスタートではなかった。それでも、産駒がデビューした2007年はNARファーストシーズンサイアーランキング1位となり、2年目産駒からはナムラタイタンが、そして3年目産駒からはラブミーチャンが出現し、名種牡馬としての地位を確固たるものにしている。産駒は仕上がりが早くてスピードがあり、そしてタフで高齢まで活躍できている。「ところが、よく見たらサウスヴィグラス自身にダブルジェイ(米国チャンピオンブルードメアサイアー4回)の5×5があって、その父エンドスウィープはミスタープロスペクターもノーザンダンサーも持っている。配合的にも注目できる種牡馬だと気が付いたのです」と衣斐社長は話す。しかし、数多いはずのサウスヴィグラス産駒の中でも、なかなか衣斐社長の「チャンピオン配合」に合致する馬は見つからなかった。「サウスヴィグラスのようなスピードタイプには、母系にスタミナが必要なんです。誤解しないで欲しいのは、足りないものを足すという発想ではなく、スピードを増幅させるために必要なのです。これは配合以前の問題です。ところが、母系にスタミナ血脈を持った馬は意外なほど少ないのです」。実際、NAR年度代表馬ヒガシウィルウィンや船橋マリーンカップを勝ったトーホウドルチェは、母の父がブライアンズタイム。NAR年度代表馬2回のラブミーチャンやNAR2歳最優秀馬タイニーダンサー、ハニーパイはいずれもアサティス牝馬から生まれているが、全体数から見れば、アフリートやサクラバクシンオー、アグネスタキオンといった、どちらかといえばスピードタイプの種牡馬を父に持つ牝馬との配合が多い。

母シュシュファレルはホッカイドウ競馬の1勝馬とはいえ、2000年のエーデルワイス賞に勝ったナミの半妹。曾祖母ロイヤルミコマが京都新聞杯やラジオたんぱ賞に勝ったレオテンザン(父スイフトスワロー)の母スイートナイルと1歳違いの姉妹だから、祖母センエツルビーはレオテンザンとかなり近い血統構成だ。「ネイティヴダンサー系(サウスヴィグラス)の配合相手としてレリック系(今回の場合でいえばヴェンチア=ダービー馬クライムカイザーやイットーの父)と相性が良いのです。その代表はオグリキャップですが、この馬の場合はダブルジェイも6・6×7で継続されます。母の父に入るタップダンスシチーは、スタミナと底力を伝えるリボー系種牡馬ですが、私たちが手掛けたディープスカイと同じファミリーで愛着もあることから、購入そして提供を決めました」と話してくれた。

1度決めてしまえば、決めたことに対する行動は早い。購入後は当歳9月の離乳と同時に当牧場へ移動。その後は季節を問わずに昼夜放牧で鍛え上げた。「とにかくたくさん食べさせて、よく運動させて、丈夫な馬に育てたかったのです。その甲斐あって、脚元も含め健康面で不安になったことは1度もありません」と強調する。昨年秋からブレーキングを行ない、BTC軽種馬育成調教センターの屋内ダートトラックコースや屋内坂路を使ってトレーニングを開始。調教を積み重ねながら体重を増やして競走馬への階段を力強く上っている。

「2月に少し筋肉疲労のような症状が出たので、ちょっと楽をさせました。幸い、BTCの屋外馬場開放(4月中旬)の前でしたから、当初からの目標であった早期デビューへ向けての影響はないと考えています」。少し楽をさせたこともあって4月7日の初追い切りは僚馬メイクマイデイにやや遅れたものの、ダート直線1600mコースで67.5-49.8-35.6-23.8-12.4秒のラップをたたきだした。公開されている動画を見ていただければわかるように、最後は騎乗者の上体が起き上がり無理をさせていない。「現状では、これで十分だと思う。併せたメイクマイデイが走りすぎただけ」と、衣斐社長は気にも留めていない。

その後はスピード調教にも熱が入り、全身を使った大きなフォームで1走毎に時計を詰めてきている。どちらかと言えば小回りで砂の深い競馬場を得意とするサウスヴィグラス産駒はピッチ走法のイメージが強いが、この馬の場合は逆。背中の柔らかさが走行フォームに表れているようだ。

「普通は早い時計を出すようになると気持ちがオンになる馬が多いのだけど、この馬はむしろ落ち着いてきました。まだまだ馬自身に余裕があるのだと思いますし、カッカしないからゲートも問題なく、また距離の融通性もあると思います。休ませたことが良い結果に結びついているようですね」とニッコリ。「フットワークが柔らかい。おそらくダート競馬を使うことになるのだろうと思うけれども、フットワークだけを見たらむしろ芝向きの印象も受けます。どんな競馬をしてくれるか楽しみです」と期待に胸を膨らませている。「予定していた産地馬体検査が中止になってしまったので、函館競馬場で登録を受けさせる予定です。それまでに自分たちでできることをしっかりとやり遂げて、バトンを渡したい」と衣斐社長は力強く話してくれた。

サウスヴィグラスのラストクロップという意味でも注目の1頭。期待は高まるばかりだ