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メイクマイデイ(ダーティダンシング18)スペシャルレポート

募集馬情報

今月の主役であるメイクマイデイの父はウインバリアシオン。本馬の提供者であるグランデファームの衣斐浩社長が父にとことん惚れ込んでいるのは、本誌345号に掲載されたヴァリアントジョイの募集馬スペシャルレポートでも紹介されているので、ご記憶の読者も少なくないことだろう。グランデファーム所有の繁殖牝馬を、はるばる青森まで運んで種付けするほど期待し、高く評価しているのだ。そんな衣斐社長がウインバリアシオンの優れた産駒を探して青森まで足を運び、当歳だった本馬に出会って購入を決意したのだという。

本馬を語る上で、血統背景をはずすことはできない。血統について造詣が深く、人一倍こだわりを持つ衣斐社長ならではの注目ポイントが多数あるのだ。

「金子ホールディングス所有馬で重賞勝ちや入着した産駒を6頭も生んでいるクロウキャニオンが近親にいること。それにジェネラスやTreve、名牝トリプティクの母系であること。名伯楽とうたわれた伊藤雄二調教師の現役時代に育成を任せてもらい、中京記念(G3)を勝ったマチカネオーラも近親です。一言でいえば『大物が出る血統』ですから、この仔も走る可能性が高いと思ってます」と、ものすごい勢いで言葉がほとばしる。

「Hyperionの母のラインブリードが利くことで、距離に融通性が出て、底力が増す傾向にあると分析してます。ナリタブライアンやビワハヤヒデの祖母の父であり、ニッポーテイオーやタレンティドガールの母の祖父でもあるDamascusは、現代の競馬において貴重となったスタミナと底力を伝えます。母の父であるDanehill Dancerの血も良いですね。血統背景だけではなく、生産牧場で見た時にこの仔のトモの素晴らしさに惚れ込んで、即時に購入を決めました」と続ける衣斐社長。まさに「立て板に水」という表現がピッタリの話しぶりなのだ。

「活躍馬が多すぎてブラックタイプには入りきらないと思いますが、この馬の母系は皐月賞をレコード勝ちしたディーマジェスティや、昨年のスプリンターズSを勝ったタワーオブロンドン、あるいは今年のダイヤモンドS 3着のオセアグレイトと同じです。さかのぼれば、欧州二冠馬のジェネラスや英オークス2着、凱旋門賞3着2回で、ジャパンカップで4着にもなった名牝トリプティク、皐月賞2着のオースミタイクーンに、エリザベス女王杯4着のエルノヴァなど、多くの活躍馬が出ているファミリーなんですよ」

限りある取材時間内ではとても語り足りない、と言わんばかりに話し続ける衣斐社長の表情はあくまでも楽し気で、本馬に対する期待や本馬が持つ豊かな可能性の裏付けをなんとしても会員の皆様に伝えたいという熱い思いが伝わってきた。「サウンドバリアーなどの活躍馬を見つけてきた息子の健二も『この仔は良い』と言ってくれたので、購入を迷う事はありませんでした」と教えてくれた。強烈な決め手を武器に、3歳春にフィリーズレヴュー(G2)を制して、桜花賞、NHKマイルCへと駒を進めたサウンドバリアーは、今年に入ってから京都金杯、そし京都牝馬Sと重賞を連勝したサウンドキアラの母。それが健二さんが見いだした活躍馬のうちの1頭なのだから、父子ともに頼れる相馬眼の持ち主であることは間違いない。

そんなお二人の眼鏡にかなって、離乳を済ませて青森県から浦河町に移動してきた本馬は、昼夜放牧で基礎体力を養ってきた。

あらためて、本馬の印象をうかがってみると「初めて見た時から、黒光りする馬体は、まるでうちで育成させてもらったローレルゲレイロみたいだと思いました。ここまでの成長ぶりからも、この馬にもゲレイロのような内臓の強さがあると感じてます。放牧時の動きを見ると緩いと感じさせるほどに柔らかく、乗ると関節も柔軟だと判る動きをしてくれます」と衣斐社長。

「長くお付き合いさせていただいている昆調教師がこの馬の柔らかさを見て気に入り、お墨付きをくれるとともに『ぜひ管理したい』と言ってくれたので、ローレルクラブへの提供に踏み切りました。ローレルさんには、会員さんが『グランデファームの提供馬だから出資したい』と思ってくれるように、募集開始までの期間ギリギリまでしっかり吟味して、本当に動くと思った馬、走ると思える馬を提供していきたいと考えています。実際に競走に出てみるとうまくいかないこともありますが、本当に良い馬をとの思いで選んでいるんです」という発言からは、会員の皆様が楽しめる馬をとことんまで選び抜きたいという衣斐社長の誠意がうかがえる。

さて、前置きが長くなったが、いよいよ調教が始まった。本馬に騎乗したのは健二さんだ。取材当日の調教メニューはBTC内の屋内ダートコース1200mと坂路2本という内容。1本目は20秒ペースで、2本目は14.7-15.6というラップを刻んだ。

健二さんは「坂路2本目は15-15との社長からの指示だったんですが、途中で少し速くなってしまったので、抑えた事で最後の1ハロンの時計が少し遅くなりました。もちろん、出そうと思えばもっといけますよ。未使用のギアがまだまだ残っている感触で、それもひとつとかふたつではない手応えです。気が勝っている馬だとすぐにトップギアに上がるので、調教では良く見えますが、その上がなく奥がない馬が多いと思います。その点、この仔は15-15ぐらいだとギアが上がる事がないので、まだまだ奥があると判るんです。たとえると、軽トラックでは4速で一杯ですが、高級車だとさらに5速、6速、もっと言えば7速にも入る感じ、ですね」と、実に解りやすく教えてくれる。

続けて「馬体は緩く見えるかもしれませんが、実際に乗ると動きがとてもシャープです。緩めな馬の場合、常歩などではダラダラして見えるのが、時計を出すくらい速いところにいくと一変してシャキッと走る馬が多いんです。この仔もそのタイプだと感じますね。ペースが上がれば上がるほど、より良く感じられる馬になりそう。昆先生も、そのあたりを見据えて気に入ってくれたのかもしれません。まだ放牧している時期に在厩している1歳馬のほとんどを見てもらったのですが、この仔について『このぐらい緩い馬が良いんだ』とおっしゃってました」と、管理予定の昆調教師の見解も含めて話してくれた。

ちなみに、健二さんはグランデファームが管理している現2歳世代すべての初期馴致を行なったという。「BTCに行く前の場内で、特にハミ受けやゲートを嫌がらない馬にしたいとの思いで、ていねいさを心がけて馴致しました。ゲートなどの狭い場所はほとんどの馬が苦手なものですが、初めから強制するのではなく『狭いところだからといって緊張しなくてもいいんだよ』ということから教えてあげました。その後は馬ごとの癖などを騎乗スタッフに伝達して、考えた上で騎乗してもらっています。その甲斐もあってか、現在のところ、この仔を含むほとんどの馬が気性的に何も問題なく調教が進められているように感じています」と、若駒への細やかな気遣いを教えてくれた。「ただし、それはあくまでも現時点での話で、これから進めていく過程で何かしら問題が出てしまう馬も出てくるでしょう。そうなってしまった場合は再度馴致を行ない、矯正しながら進めていくんです。同じ人が同じように全馬に接するわけではなく、トレセンに入ってからもいろいろな人がそれぞれの馬に関わっていくので、良くなったり悪くなったりするのは仕方がない。むしろ、そうなった時にいかに対処できるかがポイントだと考えています」と続ける。育成に対するスタンスも、デビュー後の管理についても、グランデファームならではの頼もしさを感じさせるコメントではないか。

本馬の精神面については「もともと少し怖がりな性格が、おっちょこちょいに繋がっているのかも。でも、最近は物見も少なくなったし、今日はそんな面は出さなかったですね。普段がすごくおっとりしているので、何かがあった時に驚くと、焦ってしまって急な動きをして周りが見えなくなるのが、おっちょこちょいな行動につながってしまうんでしょうね」と健二さんが分析してくれた。本馬の距離適性については「血統的には長めだと思います。それでも調教方法や気性面が大きく影響すると思いますし、長めが合いそうな血統馬が短距離になるケースもあるので正確には判断できませんが、現時点ではある程度は距離が持つ馬だと思います。今はまだ15-15程度だし、この時期は長い距離をある程度のペースで乗り込むことに重点を置いているので、本当の適性が表れるのはもっと先になりますね」と推測。社長も「健二が言う通り、距離適性などは気性面が大きく影響するのでトレセンに入ってからでないと判断が難しいと思っています。たとえば、カーネギー産駒はどうして短い距離しか走らない馬が多かったかを考えると、特にそう感じますね。芝適性については、自分たちが考えるよりもかなりの瞬発力を持っていないと結果が出ていないので、そのあたりもこれから追い切りを重ねていくにつれて判ってくるでしょう」と、コース適性も含めて語ってくれた。

最後に今後の展望をうかがった。「もっと調教が進んで身体が引き締まってきたら、ガラッと動きが変わってきそうです。この仔を見込んだ昆先生の相馬眼は大したものだと言われるぐらい、活躍してくれるように育てたいです」と健二さんが目を輝かせる。社長は「これまでの調教の進みぐあいからすると、札幌でのデビューも考えられるので、いずれ昆先生の判断を仰ぎたい」と話しており、早期デビューの可能性にも言及。父子そろって腕っこきのホースマンであるお二人が手塩にかけて育てている本馬が、いずれ馬名の意味通りに会員の皆さんを「楽しませてくれ」るようになる日が待ち遠しい。