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ラヴォラーレ(ピアノコンクール18)スペシャルレポート

募集馬情報

人生には運命の出会いがあるように、ラヴォラーレにとって、これまでの最大の幸運は武田ステーブルとの出会いだったかもしれない。日を追うごとに、そんな思いが強くなる。

アドマイヤコジーンにファインモーション、トーホウジャッカル、そしてインティ。共通しているのは、じれったいくらいに馬の本質、成長にあわせた育成方針と、競馬場へと送り出すタイミングの妙だ。「ピアノコンクール18」ことラヴォラーレも、同期の仲間たちが次々と巣立っていくのを横目にマイペースの調教が進められている。

「第一印象は、馬格に恵まれた馬だなということと、少し神経質なところがあるなということでした。そのため、調教を始めたばかりの頃は体力的な事よりも精神面の成長に重点を置いたカリキュラムが必要でした」というのは同ステーブルの武田浩典専務だ。個性の動物と言われるサラブレッド。短い距離を得意とする馬がいれば、長い距離を得意とする馬もいる。2歳で能力のピークを迎える馬もいれば、5歳になって素質を開花させる馬もいる。それを理解し、見極めるのは周囲の人間の責務だ。特にこの馬の場合は、中期育成牧場を経ずに生産牧場から直接後期育成牧場へと移動したことで、精神的に戸惑いを覚えた時期があったのは否めない。しかし、それを克服したのもラヴォラーレ自身の精神力だ。「生まれ持った性格もあるのかもしれませんが、周囲にたくさんの馬がいる環境は初めての経験だったと思います。入厩当初はそんな状況を上手に理解することができず、いつもビクビクしていました。そんなこともあって思わぬ怪我をした事もありましたが、丁寧に時間をかけて馴致や育成を心掛けてきたことで、今では心の余裕を持って調教に励むことができるようになりました」

馴致、育成をスタートさせてから次々と表面化してくる課題を、ひとつずつ確実にクリアしながら成長していく課程は、これまでの愛馬レポートを参照いただきたい。学習能力の高さは、今後この馬のレーシングキャリアにとって大きな武器にもなるはずだ。そして、ようやく「追い切り」のゴーサインが出されたのは8月19日。この日のメニューは1周600mの屋内ダートコースをキャンターで3周。そして軽種馬育成調教センターの屋内1000mのウッドチップ坂路でのスピード調教だ。手綱をとるのはJRA厩務員過程への進学を希望している佐藤謙晋(けんしん)さん。ダートトラックコースでのウォーミングアップで、見知らぬカメラマンの存在を意識するのは、馬自身の余裕の表れ。余裕がなければ、周囲を気にするわけもない。そして坂路コースへと移動。この坂路コースは、普段の調教でも使用している、いわば走り慣れた場所のはずだが、この日はいつもと異なる雰囲気を察したのか、スタート前から気合乗りがまったく違う。当初予定は13秒5~13秒0~13秒5程度だったが、走り始めるとグングン加速して13秒4~12秒4~12秒9で3ハロン38秒7。父譲りの力強い大きなフットワークのまま、軽々とそしてまっすぐに走り抜けて好時計をマークした。騎乗者の手綱は、最後まで緩められることはなかった。

「予定していたよりも時計が速くなってしまいましたが、これだけの時計でも馬自身が物足りなさを感じるくらいに体力がついてきたのは心強い限りです。しかし、その一方で新しい課題も見つかりましたから、収穫の多い内容でした」と武田専務。今後は、そうした状況下でも気持ちをコントロールできるように導いていきたいという。言葉を換えれば“我慢の走り“だ。「身体が大きくて緩く見えるタイプなので、フラフラしながら走るように思えますが、すごい真直ぐ一直線に走れるんですよ」と言葉を続けた。余談めくが、この日はゴール地点に設けられている急勾配の坂も本馬を止めることができずに、坂路コースの終点出口から外へ脱出してようやく止まってくれたほど。一瞬、表情がこわばった佐藤さんも無事を確認すると思わず苦笑いしたが、見守っていた関係者は、機転が利いた対応にほっと胸を撫でおろした。「普段は本当におっとりしているのですが、走り出すと気合が乗って、競走意欲がかきたてられるようです」。例えるならばディーゼルターボエンジンを搭載した大型車両か。瞬発力よりも優れたパワーと加速力を兼ねそなえ、徐々に加速しながらトップスピードへと昇りつめると、容易にバテないスタミナを武器にゴールを目指す。そんな将来像がおぼろげながら見えてきた。

父は無名種牡馬のオールステイ。しかし、その血統背景は煌びやかだ。父ケープクロスはシーザスターズ(英国2冠馬、凱旋門賞)、ゴールデンホーン(英ダービー、凱旋門賞)、ウィジャボード(欧州年度代表馬)などの父で、母フラワーレットは、トーセンラー(マイルチャンピオンシップ)やスピルバーグ(天皇賞・秋)の姉。オールステイ自身も2歳夏の函館競馬で新馬戦を逃げ切って潜在能力の高さを示している。期待された2歳ステークスは不良馬場に足を取られたが、その後はバテない強みを生かした先行力を武器に中級条件で活躍した。

一方、母系は地味ながらも堅実だ。兄カフジリブラは8月22日現在、祖母ピアノレッスンが11勝をあげた岩手競馬で8戦6勝2着1回。重賞のやまびこ賞4着以外は連対を外していない活躍を見せ、母と1歳違いの全姉カノンの初仔ミズリーナは、昨年12月のメイクデビュー中京・芝1400m戦で好位から抜け出し、この春は紅梅ステークス5着ののちフィリーズレビューにも挑戦している。母系を紐解けば、圧倒的な強さで南関東三冠、そして東京大賞典に勝ったサンオーイや、3200m時代の天皇賞・秋をレコード勝ちしたメジロティターン(メジロマックイーンの父)といった名ステイヤー、菊花賞をレコード勝ちしたプレストウコウの父グスタフの名前が見え、母の父は米国チャンピオンサイアーのディストーテッドヒューモア直仔で、米G1クレメントLハーシュステークス優勝馬のフォーティナイナーズサンだ。この馬はリボー産駒トムロルフ4×4のクロスを内包していることもセールスポイントとなっている。

おそらく、本馬の本格化は古馬になってからだろう。もちろん、そのためには3歳夏までに1勝を挙げることが条件になるが、それはまだ1年も先の話。ゆっくりと成長を待ちたいと思う。「今日の段階でスピードと体力は確認できましたので、今後は気持ちのコントロールを課題に、今日のようなメニューを継続するかたちになると思います。人間が馬に負けないように、そして気性面の悪いところを抑え込めるように気を付けて進めたいです。これからの成長にまだまだ伸び代が多いと思うので、これからの調教、そして武市厩舎に入ってからのさらなる成長を期待しています」と締めくくってくれた。