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コスモパルムドール20スペシャルレポート

募集馬情報

12月中旬、冬の訪れが早い北の大地らしく身が引き締まるような寒気に包まれつつ、本稿の主役を務めるコスモパルムドール20に会うため、浦河町のグランデファームを訪ねた。まずは、1歳の11月というタイミングで追加募集に至った経緯について、スタッフの中根さんにお話をうかがった。

「7月のセレクトセール1歳に上場した際、レポジトリー検査で左前肢種子骨に小さな骨片があると判明しました。身体が大きくしなやかな動きをして目立っていたのですが、骨片の件もあってこちらが思っていた値段にまで上がらず、連れて帰ってきたという次第です。セリ後はすぐに骨片除去手術を行ない、まったく問題ない状態に回復しています」

そのセレクトセールでは中根さんが馬を曳いていたのだが、セリが行なわれる会場前のパレードリング(パドックを常歩で周回)へ入る前に、ほかの馬に驚いて立ち上がった時、前肢が中根さんの顔に当たって目の周辺が切れるというアクシデントがあったそうだ。

「代わりのスタッフがいなかったので、そのままパレードリングに加わりましたが、僕の顔が血だらけになっていたので、馬よりも僕のほうが注目を浴びてしまいました(笑)。人に怪我させるほどうるさい馬だと思われたのかもしれず、そんなこともあって主取りになってしまい、馬には申し訳のないことをしました。実際には、元気がいいけどそれほどうるさくないです。むしろ初めての場所でも大人しかったので僕が油断していたんです。厩舎が立ち並ぶ狭い場所で、厩舎の陰から突然ほかの馬が出てきたことに驚いて立ち上がっただけでした。セリに向けての馴致でも大人しくスムーズだったので、早い時期から鞍着けまで行ない、いつでも人が跨がれるほど精神的に大人で、人に対して従順でした」と詳しく教えてくれた。

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中根さんは「母コスモパルムドールは大きな仔を出してくれます。明け3歳のエピファネイア産駒ヴァンダービルトも大きいですし、この仔も雄大な馬格を誇っています。その兄もエピファネイア産駒がデビューした年のセレクトセール当歳で2160万円の値が付いたほど、良い馬体をしています。兄はちょっとビビリな性格で、売却後も続けて育成を任せてもらっていましたが、陰に物見するなど少し神経質な面がありました。この仔は兄よりも馬に柔らかみがあってさらに良い馬なので高値で取引される期待があっただけに、本当に残念でした」と、本馬を高く評価している。また、衣斐浩社長が「募集開始が遅れたのは、本馬を気に入ってくれていた馬主さんからセリ後も値段交渉があったためです。結局は値段が折り合わなかったのですが、だからこそこの仔もローレルクラブさんとの縁ができたんですね」と話すように、セレクトセールでのハプニングによる主取り、そしてセリ後の交渉立ち消えは、むしろクラブにとっては吉と出たと言えるだろう。

そんな本馬の父ドゥラメンテは、2020年に初年度産駒がデビューして37勝をマーク。2021年にはタイトルホルダーが弥生賞ディープインパクト記念(G2・中山・芝2000m)優勝後に菊花賞(G1・阪神・芝3000m)をも制して初年度産駒初のG1制覇を果たした。2021年の産駒勝利数が91と勢いに乗っているが、ドゥラメンテ自身は2021年夏に若干9歳で惜しくも早逝した。残された産駒は受胎中の産駒を含むわずか5世代。本馬には、その一員としてぜひとも活躍してほしい。

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さて、本馬を生産して育成も手掛けるグランデファームの衣斐社長は、血統の造詣が深く独自の配合理論を持つことで名高い。血統のアピールポイントについてもぜひうかがいたいところだ。

「母コスモパルムドールはサイアーラインにBuckpasserが入っており、父母ラインと母父ラインで絶妙なクロスがかかっているところが特に気に入っています。こういう配合は血の影響力が強く、成功する可能性が非常に高いというのが私の持論です。そのクロスを有効活用し、なおかつ近代競馬には欠かせないMr.Prospector-Kingmambo、サンデーサイレンス-Haloの血を融合しつつ、Buckpasser-TomFool-Menow-Pharamond-Phalarisの継続クロスを作っています(ドゥラメンテの場合はラストタイクーン-トライマイベスト-SexAppeal-Buckpasserの6代目にBuckpasser)。海外ではサンデーの代わりにDanehillやMachiavellianがその効果を持っており、活躍馬の5代血統表に入ってこない例がないほど、重要な役割を担っています」と衣斐社長。いつもながら、血統や配合理論の話題になると目を輝かせつつ口調がますます熱くなる。

「そんな中、導入直後に種付けをしたパイロは、配合の失敗だったと今も悔やんでいます。Buckpasserの継続クロスなど全体的な配合には自信があったものの、身体に柔軟性を欠くパイロには、柔軟性に優れたサンデーサイレンスの血が入らないと良い仔は出てこないと感じたからです。2021年産からはサンデーサイレンスが入っていないサトノクラウンを連続して種付けしていますが、これはサトノクラウン自身が柔軟性を十分に持っているので大丈夫だと判断しています。そんな血統背景を持つ後継繁殖として、早くレグルドールに続く牝馬が生まれてきてほしいと思っているほどです」と続ける。

「同じ配合をしても同じ馬が生まれてこないのは当たり前ですが、ドゥラメンテ産駒の本馬は、5~6回種付けしてやっと出てくるような特別な出来の仔だと感じています。それぐらい自信があったので、この後にドゥラメンテを付けなかったほどです。残念ながらドゥラメンテは早逝してしまいましたが、セリで見ていても、なかなかこのレベルの産駒には出会えないと感じています。ドゥラメンテ産駒でこんな格好の良いのはそうそういないですよ」と、衣斐社長の誉め言葉は止まらない。

中根さんも「明け3歳の兄ヴァンダービルト(エピファネイア産駒)も良い馬です。少し脚元に不安が出てまだデビューできていませんが、トレセンでゲート試験に合格した後の調教では、新馬3着の馬と一緒に走らせても相手が全然ついてこれないぐらい能力があるので、『大事にしたい』と言ってもらえてます。この仔はその兄より身体の幅が薄くて胴が長いですね。飛びが大きく腰に力があるし、身体つきからはいかにも芝の長いところが良さそうだと感じています」と評している。

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事務所での取材が長くなったが、いよいよ調教開始だ。洗い場で馬装される間もジッとしていた本馬は、滞りなく馬運車に乗り込んだ。BTCへ到着して中根さんの補助でスタッフが騎乗すると大人しく歩きはじめる。しばらくして至近距離でカラスが飛び立ったのに驚いてちょっと立ち上がったものの、なだめられるとすぐに落ち着き、調教パートナーのフレンチナデシコ20らとともに屋内坂路へと向かった。

屋内坂路で18秒ペースのキャンター2本という調教メニューをやすやすとこなす本馬を見ながら、中根さんは「同じ時期の兄ヴァンダービルトは粗削りでダイナミックな走りをしていましたが、この仔はしっかりとした、良い意味でまとまりがある走りができるタイプですね。身体のバランスが良いので、1歳のこの時期でも左右にブレない走りがすでにできるんです。1歳にしては十分なんですが、この馬が持っていると思われる本来のストライドにはまだ達していないと思います。これからもっとゆったりした動きができるようになれば、首の位置がもっと安定してくるでしょう。アゴをもう少し伸ばして前肢が前に出せるようにフォームを教えていけば、キャンターの動きがどんどんダイナミックになってくるはずです」と分析する。その言葉通り、坂路をまっすぐに駆け抜ける力強いフォームに感心した。

また、この時期の若馬なら何かに気をとられてわき見をするのも無理ないはずなのに、前方を見据えて集中力を切らさずに走れることを褒めると、「BTCに出入りするようになってから元気のよさがでてきて、今は少しうるさい面がありますが、もともと従順で賢い馬なので心配はしていません。従順であってもボーッとしているタイプではないので、気性的にも仕上がりは早めだと思っています。雄大な身体つきと跨った感触からは、あまり忙しい競馬は向かないように感じますね。馬体から受けるイメージ通りに、中距離以上が向くタイプではないでしょうか」と教えてくれた。どうやら、かなりの賢さと真面目さを兼ね備えているようだ。

そんな本馬への課題をうかがってみた。「ハミ受けを詰めても伸ばしても(首を丸めさせて身体を短くさせても、首を延ばして身体をゆったりと使わせても)、どんな態勢になろうとハミを受けてしっかりと走れるように、今後の調教で教えていきたいです。動きにバリエーションを持たせて、どんな動きにも対応できるようにさせます。その中で馬自身の走りやすいハミ受けの位置(一番楽な位置)が出てくるはずなので、頭の位置が高くても低くてもしっかりとハミ受けできるように意識して、日々の調教を行なっていきます。これから後肢に力が付くにつれてハミ受けの位置が自動的に低く下がってきますが、この仔はもちろん、管理馬それぞれに合わせた柔軟なハミ受けを作っていきたいです」という熱心な口調や説明から、本馬のみならずすべての管理馬に対する責任感と熱意がひしひしと感じられた。

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最後に、衣斐社長が本馬の母コスモパルムドールについて興味深いエピソードを話してくれた。「母は、今は亡き岡田繁幸氏がアメリカから導入した馬で、ダート短距離で1勝2着2回の成績を挙げました。引退後はビッグレッドファームで繁殖入りした後、母の血統や配合を気に入ってうちが購入したんです。その後に、購入前の産駒コスモドームが房総特別(1000万下)や水無月S(1600万下)など、芝1200m戦でJRA5勝を挙げてオープン馬となりましたが、コスモパルムドールのお腹には、コスモドームの父アドマイヤマックスを受胎していたのも運が良かったですね。当時装蹄師として信頼していた宮崎県の田上さんにわざわざ北海道まで来ていただいていたこともあり、田上さんのところへ繁殖として預託しました。母とアドマイヤマックスという配合も面白かったし、生産者賞で少しでも恩返しをしたいとの思いで預託して生まれたのがレグルドールなんです。出生後まもなく、馬運車の中で母のお乳を飲みながら浦河へ移動して育成を行ないました」とのことだ。

宮崎で生を受けた姉レグルドールは関係者一同の期待に応え、九州産馬として小倉競馬で2歳新馬とひまわり賞を勝ち、阪神JFに駒を進める活躍を見せた。引退後はグランデファームへ戻って、母コスモパルムドール同様にサトノクラウン産駒を2年続けて出産している。レグルドールの現役時代に岡田氏と話す機会があり、コスモパルムドール産駒のコスモドームとレグルドールの活躍に「『しまった』と言いたげな悔しそうな表情が今も目に浮かびます」と衣斐社長が感慨深げに話してくれた。競馬の世界には、「亡くなった種牡馬の仔は走る」というジンクスが存在する。本馬の場合、早逝した父ドゥラメンテ以外にも、母の日本導入に関わった岡田繁幸氏の思いまでが後押しをしてくれるのではないかと感じ入った次第であり、本馬の成長と活躍がますます楽しみになった。

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