INFORMATION
インフォメーション
インフォメーション

インフォメーション

アンジェリカル(アンジェリック20)スペシャルレポート

募集馬情報

ひと目見て、その優雅な歩様の虜となった。まだ亀甲が抜けきっていない幼い体型ながらもクラシックバレエのダンサーを連想させる優雅なステップ。深く踏み込まれる後駆と、その歩調に合わせるようにしなやかに動くクビ。高く、そして前方に運ばれる前肢は肩の可動域の広さを示しているように見える。

ついさっきまで馬房の中でゴロンと横になっていた馬だとは思えない。長く2歳馬の取材をさせてもらっているが、乗り運動を始める前に馬房で寝転んでいた馬に出会ったのは初めてだ。いつもパートナーを務めているという堀川仁志さんが手入れを始めても、その表情はどこか上の空のように見える。寝ころんでいたせいで、体中に寝藁が付いてしまっていたが、体中どこをブラッシングされても平常心。鞍を置かれても、そしてハミをかけられても、緊張感のかけらもない。そんなところにも大物感を感じさせる。それでいて、歩かせると身体全体を大きく見せる。「磨けば光るダイヤモンドの原石」ではない。「ダイヤモンドの原石は磨かなくても光っている」ということを本馬は教えてくれた。

ファンタストクラブ木村牧場は、エルコンドルパサーやナカヤマフェスタ、レインボーダリアにディーマジェスティらが巣立った育成牧場で、近年でもマルターズディオサ、クレッシェンドラヴ、ショウナンバルディなど活躍馬は枚挙に暇がない。当クラブの会員の方にはお馴染みだろうファンタストクラブ内に65馬房を構え、15人の騎乗技術者たちが馬を鍛え上げている。「預かった馬に対して大切にしていることは」という問いに対して「馬の(成長の)邪魔をしないこと」と川嶋場長。「人間と同じように1頭々々の馬には個性がある。それを正しく理解して、大切に伸ばしてあげたい」と優しいまなざしを向ける。

さて、本馬を生産した杵臼牧場は、当クラブへ初の募集提供である。その杵臼牧場は今年のフェアリーS(G3)をライラックで制しており、今年はすでにJRAだけでも9勝を挙げて、ブリーダーズランキング14位につける絶好調の生産牧場だ。代表産駒と言えば、なんといってもテイエムオペラオーであろう。本馬を管理予定の武英智調教師とは、懇意にしている馬主との関係で、師の騎手時代から深い付き合いがある。厩舎開業時から生産馬が毎年入厩して活躍馬を出しており、現役馬ではペプチドナイルが昨年3連勝、5勝馬ペプチドバンブーがオープン競走で活躍中、ペプチドヒミコが先日の2勝クラスを連勝で優勝、ペプチドヤマトも連勝で今年の1勝クラスを勝利するなど、勝ちまくっている好相性の組み合わせだ。また、それらの育成はすべてファンタストクラブ木村牧場であった事も心強い。その武英智厩舎は開業5年目で、メイケイエールのシルクロードS(G3)優勝を含む8勝を早くも挙げており、リーディングトレーナー9位につけている。昨年は29勝を挙げた前途洋々な若手調教師である。(数値は2月末現在)

話は戻るが、アンジェリカルについて、ファンタストクラブ木村牧場の川嶋場長は「サイズ的に特別大きな馬ではありませんでしたが、バランスの良い平均サイズのボディの持ち主で、歩かせるとスムーズな脚さばきを見せる馬です。乗り運動を始めたばかりの1歳時の馬はほぼ例外なく前脚に頼って走るものですが、この馬はすぐに重心を後ろにして走ることを覚えました。後駆を深く踏み込むことができるのは走るフォームに適した骨格を持っているからこそ」と話す。それでも、この馬の第一印象でもっとも鮮烈だったのは「顔」だという。小さく軽めの頭部、しっかりと張られている顎や大きい鼻孔、それらはバランスがほどよく整っていて気品を漂わせる。大きい鼻孔は十分な酸素を、肺を通じて丈夫な内蔵に供給できると言われている。また、ピンと立った大きめの耳は適度に動き、落ち着いた精神状態を示しているかのようだ。余談だが、動きすぎる耳は視覚の異常が疑われ、あまりに動きが鈍い耳は聴覚に難があるケースが多いのだ。何はともあれ、見るものを魅了するような美しい馬体を、写真を通じて堪能していただければ幸いである。

父は2冠馬ドゥラメンテ。近年の最強世代とも言われる2015年クラシック世代において、キタサンブラック、リアルスティール、サトノクラウンらを寄せ付けない強さで、皐月賞、そしてダービーを制覇。歴代のチャンピオンサイアーを取り込んだその血統表は豪奢で煌びやかだ。そうした血統構成に恥じない能力を発揮し、その将来を高く評価された馬だった。大きなケガを負ったために志なかばで現役生活引退を余儀なくされたものの、産駒をデビューさせた2020年は35頭の勝ち馬で43勝(JRAでは32頭で37勝)。JRA&総合の新種牡馬チャンピオンに輝き、その初年度産駒タイトルホルダーは菊花賞を制した。父仔を併せた3冠制覇をあっさりと成し遂げただけではなく、2世代目産駒スターズオンアース、ベルクレスタなどもタイトルホルダーに続き、JRA&総合セカンドクロップサイアーズランキングも堂々の首位となった。また。世代別サイアーランキングにおいても、明け3歳世代がディープインパクトに次ぐ2位となっており、名実ともに次世代の日本の馬産界を背負うはずの馬だった。それだけに、わずか5世代の産駒を残したのみの急逝はあまりに惜しい。

母アンジェリックはJRA4勝馬。全4勝を1400mで記録しているものの、芝2000mの重賞の愛知杯、そして桜花賞トライアルのアネモネSの5着馬でもある。字面だけの競走成績以上の可能性を感じさせる馬だった。そして繁殖牝馬としても有望で、本馬の全兄ギャラクシーナイトが早々に勝ち上がるなど、その優れた競走能力を産駒に伝えている。

曾祖母マルカアイリスは小倉3歳S優勝馬で、阪神3歳牝馬S(現在の阪神ジュベナイルフィリーズ)1番人気の実力馬だった。ほか、このファミリーにはシリウスS優勝マコトライデンや、名古屋大賞典、かきつばた記念優勝マルカセンリョウなどもいる。芝・ダートを問わず様々なタイプの活躍馬を輩出するA級ファミリーで、母の父はエピファネイア、ルヴァンスレーヴなどで注目を集めているシンボリクリスエス。両親の間に生じているトニービン4×3のクロスも異彩を放っている。

さて、取材当日の調教へと話を移そう。まずは屋内角馬場でたっぷりと時間をかけて20分。その後は、通常ならば坂路調教へと移るのだが、数日前の豪雪で屋内の坂路に雪が入り込んでしまい、1週間ほど坂路コースが使用できなくなったため、1周800mの屋内周回コースを18秒ペースで3周する。屋内コースはダートが敷かれているが、砂厚が深くかなりの負荷がかかる。この調教が2歳2月の段階でどれほどハードなものかといえば、ほかの育成牧場から集団調教に参加した遠征馬4頭がまったく付いてこられなかったことからも明らかだ。鞍上の堀川さんは軽く促す程度で、その手綱はほぼ“持ったまま”に先行集団で周回を重ねる。約60頭が在籍する木村牧場の中でも、本馬を含むこの一団は最も仕上がりが早い組。その中でも動きは抜群だ。

「この馬の良いところは、リラックスするときはリラックスできて、走り出すと一生懸命に走ってくれるところだと思います。今日は周回コースでしたが、すでに屋内ダート坂路コースでは15-15までペースを上げています。まだ馬にとっては物足りないみたいで、追い切りをしたあともケロッとしていますし、飼葉が上がることもありません。この馬の乗り味を例えるならリニアモーターカーですね」と堀川さんが言うだけあって、まだまだ、その走りには余裕を感じる。

本馬の動きを満足そうに見ていた川嶋場長も「この馬の武器はスピード。距離に関しては未知数ではありますが、決してスプリンター的な身体の使い方ではありませんので、ある程度こなしてくれると思っています。仕上がりそのものもかなり早い方だと思いますので、武英智調教師にはそのように報告しています。牝馬ですから、テンションが上がりすぎないように十分に注意しながら、息を抜くときは抜いて、夏に向けてピッチを上げていければよいと思います」と笑顔を見せた。その視線は、早くも満開の桜が咲き誇る仁川のターフを見据えているように思えた。

会報誌未公開画像(画像をクリックして拡大)

募集馬情報ページはこちら

募集馬情報ページはこちら

動画カタログはこちら

出資予約ページはこちら