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アメージングムーン21スペシャルレポート

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北海道内では雪の少ないとされる日高地方であるが、それでも発達した低気圧が通り過ぎた12月下旬には、馬産地一帯を白く多い尽くすかのような雪が降り積もった。

たちが悪いのが、その後、一気に気温が上がったことで、降り積もった雪がシャーベット状に融けてしまった。融けた雪は夜になると再び凍結し、そして日中には解凍を繰り返していく日々が続いた。

こうなると放牧地はぐちゃぐちゃになり、根を張り巡らせていた牧草にも影響が出てしまう。また、来春のデビューを目指しての調教が行われている1歳馬たちにとっても、馬場の管理が追い付かず、調教できるコースが制限されてしまうこともある。

ただ、アメージングムーン21が管理されているファンタストクラブでは、その心配もなさそうだ。日高地区随一と言われる充実した調教施設には、全長800mの屋根付き坂路コースや、1週700mの屋内ダートコースなど、雪の影響を受けない施設が設けられているからだ。

「アメージングムーン21は、最も進んでいる組で調教が行えています。周回コースを併せ馬で2~3周する日もあれば、坂路コースでハロン17秒ほどの時計を出しています」と近況を教えてくれたのは、ファンタストクラブの後條雄作場長。ホッカイドウ競馬、早田牧場、そしてファンタストクラブと、後條場長の元から送り出された活躍馬は数知れない。今年の日本ダービーへ出走したマテンロウオリオン、マテンロウレオもまた、ファンタストクラブの育成馬である。

ローレルクラブにとっても、まさに頼れるホースマンであり、そして全幅の信頼を置ける育成牧場でもあるファンタストクラブだが、アメージングムーン21と同じ世代では、なんと約150頭が管理されている。その中でも最も進んでいる組に入っているとの評価は、会員の皆さんにとっても嬉しい知らせだろう。

「ただ、アメージングムーン21は性格的におっちょこちょいというのか、ここに来た頃は癇性の強さもあって、飛んだり跳ねたりしていました。また、育成を手掛けてきたきょうだいと比較すると、腰の力が足りない印象もあっただけに、それを補うような調教も行っています」 と後條場長が話す。おっちょこちょいなエピソードとしては、集団調教の先頭で坂路を駆け上がった際に、後ろから付いてくる馬が気になったのか、突然、180度ターン。その身のこなしの良さと柔軟性には驚かされるばかりだが、騎乗していたスタッフは肝を冷やしたに違いない。

「ただ管理馬も多いので、様々な組み合わせでの調教もできますし、併せ馬などで他の馬に揉まれていくうちに、気性面もかなり良くなってきました」と後條場長はアメージングムーン21の気性面の成長を評する。並行する形で肉体面での強化も図られているが、ファンタストクラブでは、時計よりも調教の中身を重視した調教を行っている。

「アメージングムーン21のように、調教は進みながらも、まだ強化したい部分がある馬に関しては、強弱を付けた調教が必要となります。その中で重視するのが、人が騎乗した時の基本ともなる、ハッキングでの走りです。時計はひとつの目安にはなりますが、その時計を正しいフォームで走るのが重要であり、時計に左右されているようでは、馬のためにはならないと思っています」

その言葉にも表れている、後條場長の強い調教への信念。それは長きに渡るホースマンとしての経験から培われてきたものであり、アメージングムーン21についてもスムーズなデビューだけでなく、長きに渡って活躍していく姿までを、今から想像しているのだろう。

その後條場長が、「調教がそろそろ始まるよ」と声をかけてくる。この日は屋内角馬場で身体をほぐした後に、屋内ダートコースを周回するメニューだった(坂路調教シーンは後日に撮影)が、屋内角馬場に向かうと一番乗りで本馬が入ってきた。「初めてこの場所に来た時には、物見ばかりしていました。それが今では1頭で堂々と入ってくるのですから、飲み込みも早いのでしょう」と後條場長が話しているうちにも、次から次へと、育成馬たちが屋内角馬場の扉をくぐっていく。875㎡の広さがある屋内角馬場であるが、その中にはあっという間に20頭の馬たちがそろい、壁沿いに歩き始めていた。

「よし、行ってみようか!」という後條場長の掛け声と共に、一気にダクを踏み始める育成馬たち。その光景は、まさにリアルかつ迫力満点なメリーゴーランドのようにも映る。その中でアメージングムーン21を始めとする育成馬は、等間隔を保つだけでなく、ハミをしっかりと取りながら周回を重ねていった。

「予備運動から集団で走ることを学ばせるだけでなく、馬にわがままをさせないようにも心がけています。また集団で走っている時だからこそ、個々の馬の状態も見えてきますし、何か気になった時には、騎乗スタッフに声をかけて、改めて指示を伝えるようにもしています」

そう話した後條場長は、扉から出てきた育成馬に騎乗していた数名のスタッフに指示を伝えていく。その指示を受け取ったスタッフと育成馬が次に向かったのが、全長700mの屋内ダートコースである。

会報誌未公開画像

アメージングムーン21は思いっきり走れることが嬉しかったのか、走り出した当初こそ、尾っぽを大きくふるなどやんちゃな面を見せていた。だが、そのうち走ることに集中を始めるとバランスの取れた美しいフォームで目の前を颯爽と駆け抜けていった。

その様子を見届けて「やはり、この血統らしいいいバネを持っていますし、かなりのスピード能力も秘めていると思います。まだまだ教え込んでいく必要もあるし、来春からの屋外ウッドチップ坂路コースでの調教を行うだけの筋力を付けていく必要もありますが、アメージングムーン21は自分の思うような成長過程で進められています」と話した後、こちらに向き直った後條場長は「必ず走ってくる血統だけに、今は基礎をしっかりと作り上げたいね」と笑顔を見せた。

まだまだ厳しい冬が続く馬産地日高であるが、雪解けを迎えた大地から芽吹く新芽のように、アメージングムーン21もまた、目覚ましい成長を遂げているに違いない。