INFORMATION
インフォメーション
インフォメーション

インフォメーション

ベネディーレ17スペシャルレポート

募集馬情報

これまで募集馬の育成をお願いしてきたことはあるが、今回初めて提供者として参加してくれたのが森本スティーブル。森本敏正代表が開口一番「ウチのスタッフたちがこの馬に出資したいと言っているのですが、そういったことも可能なのでしょうか」と尋ねてきた。いかにも真面目な森本代表らしい質問と思ったが、規約上は何の問題もない。そんなやり取りが行われているその側では、たった今、坂路から帰ってきた「エッグベネディクトことベネディーレ17」がケロッとした顔で飼葉桶に顔を突っ込んでいる。

「クラブ法人に関しては、以前から興味がありました。日本の競馬システム、賞金はとても魅力的ですし、おそらく日本以外では成立しないシステムだと思いますから」と参加を決めた経緯を話してくれた。

そんな森本代表が、提供馬第1号として選んだのが本馬だ。父はジャパンカップの優勝馬でJRA賞最優秀4歳以上牡馬のスクリーンヒーロー。種牡馬として年度代表馬モーリスを送り込んだほか、有馬記念優勝のゴールドアクター、そして京成杯、セントライト記念に勝ったジェネラーレウーノ。ちょっと変わったところでは打倒オジュウチョウサンの名乗りを挙げたトラストなども同馬の産駒だ。産駒はいずれも優れた運動能力と心肺機能を兼ね備え、力でねじ伏せるようなレースを得意としており、大物を出せる反面、競走年齢に達したすべての世代でJRAオープン馬を輩出しているように、アヴェレージにも優れた種牡馬だ。

一方、祖母のブレッシングは三冠牝馬スティルインラブやまだ記憶に新しい活躍馬アズマシャトルの姉。一族にはオークス馬ローブデコルテもいる良血ファミリー。本馬の兄には一昨年の京成杯2着ガンサリュートがおり、その活力はいささかも衰えを見せていない。

均整の取れた馬体は牝馬ながらに470kgにまで成長しており、まだまだ伸びしろがありそうだ。
「この馬を通して競馬の面白さだったり、クラブの楽しさを多くの方々に知ってもらいたい」。だから、必要以上のセールスは望んでおらず、納得した上で会員の方に参加して欲しいという。

2月下旬の森本スティーブル。先ほどの会話から、時計の針を1時間ほど巻戻すことをお許しいただきたい。

この日のメニューは浦河町にある軽種馬育成調教センターの屋内1000m坂路コースを2本。後半の1本は15-15を予定していた。深いダートトラックコースを4000m乗り込む日もあれば、本日のようなスピード調教を施される日もある。約70頭の2歳馬がデビューに向けて乗り込まれている森本スティーブルの中では「もっとも順調に来ている組」だという。

「決してペースを上げているわけではなく、休ませる必要がなかったから自然と今のグループに属している」というのも心強い。離乳から夜間放牧を取り入れた中期育成、そして現在に至るまで「トラブルらしいトラブルがまったく無かった馬です。正直に言えば、仕上がりの早いタイプではなく、多くのスクリーンヒーロー産駒がそうであるように馬体的にはまだ成長の余地を残していると思っていますが、休ませる理由もないので乗り込んでいます」。

馬房では、そんな「エッグベネディクト」が馬場に出る準備を行なっている。まだ幼さを残す顔がキュートだ。ブラッシングは毛並みを整えるというよりも、血行を促進して馬の体調を整えるという意味がある。寒い時期なら、ウォーミングアップ的な役割もあるのだろう。それでも「今日は撮影があるから。女の子だからね」と言いながら馬と触れ合うスタッフの冗談交じりのひと言にも愛情と、それからどこか余裕のようなものが感じられる。鞍を置いて、そして騎乗者が馬に跨る。驚いたのは、これら一連の動作をすべて1人で、それも馬を馬房に繋ぐことなく行っていたことだ。歴戦の古馬なら分からなくもないが、目の前にいるのは、まだデビュー前の2歳馬なのだ。「(うちのスタッフは)プロですから」と、このときばかりは森本代表の表情が柔らかくなった。

馬場に出ると軽種馬育成調教センターの坂路にまっすぐに向かう。周囲の馬たちに動じることなく、貫禄十分。慣れ親しんだ場所とはいえ、集中力を切らさずに歩く姿には頼もしさすら感じる。

軽快なフットワークがモニターに映し出される。坂路コースは正面からしか見ることはできないので、細かなフットワークを実際に確認することはできないが、まっすぐにそして力強い動きだ。

「15-15の予定だったのですが、最後は14秒台でしたね。いつもそうなのですが。この馬は乗っている手応えよりも早い時計が出てしまうのです」。騎乗したベテランスタッフが頭をかいた。驚いたのは坂路コースでの調教を終えてゲート練習場所へと移動するわずか数分の間に、すっかり息が整っていたことだ。よほど優れた心肺機能を持っていなければ出来ない芸当だ。

とくに今時期の2歳馬はいろいろなタイプがいます。坂路で時計が出てしまう馬と、トラックコースを得意とする馬。この馬はどちらかといえば前者です。まだ本当の体力がつききっていないながらも坂路で時計を出せるのは、走りのバランスが良いからです。『競走センス』と言葉を表現してもよいと思いますが、筋力がロス無く推進力となっている」と森本代表。特徴的なのはストライドの割には「跳び」が大きいということ。先ほどの騎乗者の話ともマッチするコメントだ。

今後は6月からスタートする新馬戦に向けての戦いが本格化するが「競馬スケジュールにあわせるつもりはありません」とキッパリ。その言葉の裏には「まだ成長の余地を残す馬体といい、距離適性の面からも早く仕上げて勝負する馬ではない」という思いがあるからだ。ゴーサインの目安は「坂路の時計ではなく、1周1600mのダートトラックで納得する動きが出来るようになったら」という。これから雪解けが進んで開場した屋外のタフなコースで、代表を納得させる動きが出来るようになれば、トレセンへ移動したあとも、しっかりと石橋厩舎の調教メニューに付いて行けるはずと確信している。「自分たちの馬で、スタッフに、そして会員の方に損をさせるわけにはいきませんから」と笑う森本代表が何とも頼もしい。