
約40の育成牧場が軒を連ねるBTC軽種馬育成調教センター近辺で、ハードな調教を行なう事で知られる99.9(ナインティナインポイントナイン)から、即戦力で魅力がたっぷりと詰め込まれた2騎がラインナップに加えられた。いずれも夏の北海道デビューを視野に入れたメニューを順調にこなしている。

もう1頭の「ルージュヴィッフ24」は、期待の大きなドゥラメンテ牝馬に木村社長自らが選んだジャンダルムが父。7歳秋のスプリンターズSでは荻野極騎手を背に鮮やかに差し切り、母ビリーヴとレース史上初の母仔制覇を成し遂げている。当時、ジャンダルムに近い関係者が「ゲートに不安があったジャンダルムに付きっ切りで寄り添ってくれた。この勝利は荻野騎手のおかげ」と話していたことを思い出す。木村社長は「荻野騎手とは年齢が同じという事もあって親しくせてもらっています。彼にとっては忘れられない馬の仔を、自分の手で育てて見たかった」とぽつり。ブラッドスポーツたるサラブレッドの世界には、こんな話があって良いはずだ。そんな思いが詰め込まれた本馬を「乗ってしまえば従順な馬」と表現してくれた。普段は人間の手を煩わせる事もあるそうだが「オン・オフの切り替えがはっきりしている馬」のようだ。写真でご確認いただけるようにシャープなラインを持った中型馬。同世代の馬たちに比べると、すでに競走馬らしい雰囲気を醸し出している。低めの位置に備えられているやや短めのクビ、隆起した肩周辺には父の面影があり、これから後躯がボリュームアップすれば、そのシルエットはさらに父へと近づくはずだ。
本馬は1月生まれという事もあって、1歳の夏前から騎乗馴致をスタートしたそうだ。同世代の馬と比較すると2~3カ月のアドバンテージがあるとはいえ、それを可能にしたのは誕生日ではなく、厳しいトレーニングに耐えうる体力をもって生まれた事に尽きる。加えて、両親から受け継いだスピード能力。この日、坂路で記録した2ハロン24秒7(12秒3、12秒4)は育成牧場における春先の2歳馬としては破格の好時計だ。今後は実戦を見据えてこのスピードを長い距離でも持続できるようにしたいという。「調教師からは6月の中旬までには競馬場に移動させたいと言われています」。持ち前のスピードに持続力にさらに磨きをかけて、新緑のターフを駆け抜ける。そんなシーンが目に浮かぶ。

