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タンタフェリチア(レッドミモザ24)スペシャルレポート

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この馬の血統表を見れば、多くの競馬ファンが妄想を膨らませるのではないか。父は21年にG1を3勝して年度代表馬に輝いたエフフォーリア、そして祖母はG1・2勝のフラワーパークである。父の重厚な爆発力と、祖母の軽やかなスピード。この極上のマリアージュから生まれたタンタフェリチアの移動が近いと聞き、浦河町の吉澤ステーブルに向かった。

この日の調教はBTC内の屋内ダートコース1800mと屋内坂路コースを1本。そこで想像以上のパフォーマンスを目の当たりにする事となった。時計は「13-12」を予定していると聞いていたが、モニターに表示されたラップは14秒3-12秒8-12秒3。何より驚いたのは急勾配の坂路を真一文字にスーッと駆け上がってきた事だ。さすがに馬は凄い形相で走っているように見えたが、鞍上は「イージー!イージー!」と柔和な笑み。場長に通訳してもらうと「朝飯前だよ」との事。にわかには信じがたいが、これが真実だとすれば相当な素質馬であるのは間違いない。

昨年11月に吉澤ステーブルに移動後、調教を重ねるごとに競走馬らしくなってきた。ただ、場長によると本格的な春の訪れとともに、成長曲線がグイッと上向いてきたそうだ。「5月に入ってから馬体に成長が見られた事から、スピードを上げた本格的な調教に移行しています。やるたびに身体の具合が良くなってくる感じで、攻めていくタイミングだと判断しました」

父のエフフォーリアは現2歳が初年度産駒だが、大まかなイメージもつかんでいるようだ。「性格は前向きな馬が多いですね。大手牧場の育成者からも同じような話を聞いているし、エフフォーリアの父であるエピファネイアの産駒よりも気性が安定していると思います」本馬も例に漏れず、集中力が高くて走りに前向き。「もともとは少しうるさいぐらいの気性をしていたけど、それがやる気に変わってちょうど良くなっていますよ」お転婆娘がやる気になってきたのであれば何とも頼もしい。

ここで本馬の生まれ故郷に触れておきたい。杵臼牧場は浦河の名門。代表馬はG1・7勝を挙げて「世紀末覇王」の異名をとったテイエムオペラオーだが、近年もペプチドナイルやテンカジョウ、トップナイフなどの大物を輩出。大舞台で大手生産者の良血馬と相まみえて、何度も打ち負かしてきた。そんな老舗の生産馬には場長も一目置いている。「杵臼牧場さんの生産馬は毎年数頭を預けてもらっています。繁殖牝馬の血統的なものか、それとも馬作りの方針なのか、ハッキリとした事は分かりませんが、身体の大きな仔が多い印象です。ローレルさんの馬ではヴィヴァラリスを育成させていただきました。杵臼さんの馬にしては身体が小さめでしたが、良いスピードがありましたし、新馬勝ちできたときは本当に嬉しかったです。タンタフェリチアは中型馬ですが、杵臼さんの中ではもしかすると小柄なほうに入るのかもしれません。でも、こういう身体つきだからこそ俊敏な動きができて、スピードに繋がっているのでしょう。馬体が成長してからは身体のバランスがとても良くなっていて、だからこそ坂路でも真っすぐ走る事ができているのだと思います」

ここで場長から意外な事実が明かされた。ここまでの成長過程で、少し頭を悩ませるタイミングがあったそうなのだ。「エフフォーリアの産駒は、どちらかというと父のようなパワー型が多い印象を持っていました。ただ、この馬はシュッとした身体つきで、馴致を終えて乗りだすと、すぐにスピードがある馬だと判るぐらいの瞬発力を感じさせてくれました。ただ、腰がグンと大きくなって高くなり、後から前側が追いつくという成長を何度も繰り返したのです。馬体のバランスが悪くなり、調教負荷を加減する時期があったけど、今となってはそのさじ加減がうまく成長に繋げられたのではないかと感じています」

ところで、ここまで場長からは「スピード」と「前向きさ」を強調するコメントが何度も聞かれた。そこで〝もしかすると短距離向きですか?〟と問うと、すぐに首を横に振って、こう続けた。「このスピードは短距離馬のそれではなく、絶対能力のスピード指数が高いというのでしょうか。そこそこの距離を走りながら、仕掛けるとビュンと反応するような瞬発力だと感じています。ですから適性としては、父が得意とした距離に近いところで活躍してくれるのではと思っています」。さらに「前向きさ」についても心強い補足説明が得られた。「気性の前向きさは、併せ馬の時に併走馬より少しでも前に出るという闘争心に出ていますね。スピード調教時にこの仔が馬なりであっても併走馬に遅れをとった事が今のところないので、根性があるのだと思います。ほら、坂路を走っている表情からも伝わったのではないでしょうか。逆にその強さが長い距離を走る際にどうなるのか、どう教育していくのか、という課題になるのかもしれません」。そこでふと思った。この馬の勝負根性は祖母譲りなのではないかと。オールドファンなら96年のスプリンターズSを覚えているはず。逃げるエイシンワシントンを必死になって追い詰め、最後は僅かに1cm差で捕らえたフラワーパークの姿を。彼女のスピ
ードはもちろん、驚異的な勝負根性もしっかりと受け継がれているのだ。

この逸材を管理するのは、今年開業したばかりのJRA最年少トレーナー、33歳の手塚貴徳調教師である。場長は「1歳の時点で、手塚(徳)先生から『身体の成長次第では早期にゲート試験を受けてデビューに備えたい』と聞いていたので、この仔は特に早めにスタートダッシュ訓練を行ないました」と説明。したがって厩舎との連携も完璧だ。

最後に場長は〝贅沢な宿題〟を口にした。「馬体成長が進んで調教の動きが良いけど、それでもまだ少し腰高な体型なので、さらに馬体が成長してくるでしょう。そうするともっと動きが良くなってくれるでしょうから、そのさじ加減をうまく判断してくれるでしょう。そのあたりがデビュー時期を判断するのに悩まれるかもしれません。ただ、現状でも十分な動きができているので、余計に悩むかもですね」

今すぐデビューさせても面白い。だが、もっと化ける未来もある。そんな嬉しい悩みを抱えて、茨城県の吉澤ステーブルEASTへの移動タイミングを模索中だ。これから新進気鋭のトレーナーがどう判断するか。そのタクトに注目したい。

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